監査法人で本当に必要な企業法の知識②

はじめに

監査法人に所属する中で一番重要な企業法の知識は①でまとめた開示スケジュールになりますが、会社に対する理解を深めるためにも、また企業に対する理解を深めるためにも重要な知識はあります。
開示スケジュール以外に重要であると考えられる企業法の知識は、
②組織体制
③増資、減資までの手続及びスケジュール
が考えられます。
②組織体制は、コーポレート・ガバナンスのために重要であり、コーポレートガバナンス体制は様々あるため、各体制を理解することで会社の考えを理解することができます。
監査法人は、監査役会などや内部監査室と関わることが多いため、監査役会などや内部監査室等中心にまとめます。

監査役会等

監査役会監査等委員会監査委員会
立場監査役取締役取締役
最低限必要な役員・3名以上
・常勤監査役1名以上
・半数以上は社会監査役
・3名以上
・過半数が社外取締役
・3名以上
・過半数が社外取締役
任期4年2年1年
会計監査人設置は任意
(大会社は必須)
設置必須設置必須
最低社外役員人数※14名(取締役2名、監査役2名)2名(監査等委員会の2名)6名(3委員会とも2名以上)
採用割合※257.6%38.5%3.9%

※1:監査役会につき、コーポレートガバナンスコードで独立社外取締役を少なくとも2名以上の選任を要求している
※2:2022年8月1日時点の東証プライム市場全企業の割合

監査役会を採用している企業がまだ多いですが、監査等委員会が年々増加しています。
監査等委員会を採用する理由として、
・取締役会の取締役の一員であるため、取締役として意思決定に関与することで監督機能の強化に繋がること
・社外役員の人数が少なくすむことから人件費の削減に繋がること

などから監査等委員会を採用する企業が増えています。

三様監査

監査役と監査法人、内部監査人は監査を行いますが、監査目的がそれぞれ異なります。
しかし、監査対象としては共通する部分も多いため、三者が連携することで効率的かつ効果的な監査ができます。そのため、上場会社やIPOを目指す会社などにおいては、監査計画から四半期ごとのミーティングによる連携などを実施します。
それぞれの目的を理解することで、三様監査におけるコミュニケーションがスムーズかつより意味のあるものになります。
それぞれの違いは以下の通りです。

監査役監査
(監査役)
会計監査
(監査法人)
内部監査
(内部監査人)
監査目的・取締役の職務執行の適法性
・会計監査
・会計監査
・内部統制監査
・法令や規程等への準拠性
・不正の防止や発見
・業務の有効性や効率性の向上
監査対象・取締役の職務執行等
・計算書類等
・計算書類等
・財務諸表等
・各業務プロセス等
根拠法令等・会社法・会社法
・金商法
なし
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