契約締結前の工事進行基準について(★☆☆☆☆)

質問

当社はシステム開発を行う企業です。当期において新たに新規取引先と取引を行う予定です。取引ですが、契約締結まで待っていると時間を要するため、契約締結以前において開発を開始する予定です。当社は通常収益認識に関し、工事進行基準を採用しています。契約締結以前にシステムの開発を開始している場合、開発が進捗している分売上を計上するべきでしょうか。なお、契約締結前のため対価をまだ受け取っていないです。
①売上を計上するべき
②売上を計上するべきではない

結論

②売上を計上するべきではない

基準

収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)24項、25項 改正:2020年3月31日

24.顧客との契約が第19項の要件を満たさない場合には、当該要件を事後的に満たすかどうかを引き続き評価し、顧客との契約が当該要件を満たしたときに本会計基準を適用する。

25.顧客との契約が第19項の要件を満たさない場合において、顧客から対価を受け取った際には、次の⑴又は⑵のいずれかに該当するときに、受け取った対価を収益として認識する。
⑴ 財又はサービスを顧客に移転する残りの義務がなく、約束した対価のほとんどすべてを受け取っており、顧客への返金は不要であること
⑵ 契約が解約されており、顧客から受け取った対価の返金は不要であること

整理

収益を認識するためには、契約の成立要件を満たしていることが必要です。そのため、工事進行基準を採用する企業において開発が開始している場合にも、契約未締結段階では契約成立の要件を満たさないと考えられるため、開発開始時点では収益を計上するべきではないと考えられます。契約未締結でも収益認識できる場合は、顧客から対価を受け取った際に、
⑴ 財又はサービスを顧客に移転する残りの義務がなく、約束した対価のほとんどすべてを受け取っており、顧客への返金は不要であること
⑵ 契約が解約されており、顧客から受け取った対価の返金は不要であること
のいずれかを満たす場合には収益を認識することができると考えられます。

一般的に、契約を締結するまでに対価を受け取ることはないと考えられるため、顧客との契約が完了した時にその時点での開発進捗率分売上計上すると考えられます。

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