減損の兆候判定において、営業損益、営業キャッシュ・フローいずれのマイナスで認識するべきか(★★★☆☆)

質問

当社は上場を目指すスタートアップ企業です。当期決算にあたり、減損の検討を行うにあたり、兆候判定の継続してマイナスか否かを検討することとなりました。基準をみると、減損の兆候判定の例示列挙において、営業損益と営業CFがありますが、原則いずれで判断するべきでしょうか?
①営業損益
②営業CF
③どちらでもいい

結論

①営業損益

基準

固定資産関係 固定資産の減損に係る会計基準の適用指針12項(3)_最終改正2009年3月27日

整理

単年度の財務情報を基礎にして減損の兆候があるかどうかを判断するためには、企業が生み出す将来のキャッシュ・フロー予測において、現金基準に基づく利益よりも発生基準に基づく利益が有用と考えられていることと同様に、通常、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」ではなく、「営業活動から生ずる損益」が適切であると考えられています。また、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」については、その把握が、管理会計上も「営業活動から生ずる損益」の把握と比べ一般的ではないです。このため、「営業活動から生ずる損益」と「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」の両方から減損の兆候を把握することとすると、実務上、過度な負担となるおそれがあります。そのため、減損会計基準の定めは、管理会計上、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」だけを把握している企業の場合には、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」によって減損の兆候を把握することも可能であることを示しているものと解されています。そのため、営業CFを利用できる場合は極めて限定的であり、原則は営業損益で判断することが必要となります。
そのため、営業CFがプラスでも、営業損益がマイナスの場合には、減損の兆候に該当すると考えられます。

<まとめ>
原則:営業損益
例外:管理会計上「営業CF」だけを用いている場合は、営業CF

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