取締役等の役員に譲渡制限付株式報酬を支給する場合(★★★★★)

質問

当社は、取締役に譲渡制限付株式報酬を支給予定です。譲渡制限付株式報酬は、「払込金額」及び「払込期日」を定めた現物出資方式を予定しています。ネットで調べたところ、取締役に対する譲渡制限付株式報酬の会計処理として、
①経済産業省の「攻めの経営」を促す役員報酬
②企業会計基準委員会の「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」
が出てきますが、会計処理が異なります。当社はどちらを参考に会計処理すべきでしょうか。

結論

①経済産業省の「攻めの経営」を促す役員報酬

基準

取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い_4項(1) 最終改正 2021年1月28日

整理

株式を無償で交付する取引方式として、会社法199条と会社法202条による形式があります。
いずれに該当するかによって会計処理が異なります。
会社法199条=「払込金額」及び「払込期日」を定めた現物出資方式
会社法202条=「金銭等の払込を要しない旨」及び「募集株式を割り当てる日」を定めた無償交付取引


会社法199条の場合、会計基準はなく、経済産業省の「攻めの経営」を促す役員報酬を参考に事前交付型の新株発行時の会計処理は以下の通りです。
【発行時】
(前払費用)現物出資総額 (資本金等)〃
【役務提供時】
(株式報酬費用)役務提供費用按分額 (前払費用)〃

会社法第 202 条の 2の場合、「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」の会計基準があります。「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」の事前交付型の新株発行時の会計処理は以下の通りです。
【発行時】
なし
【役務提供時】
(株式報酬費用)役務提供費用按分額 (資本金等)〃

取締役に対する譲渡制限付株式報酬を支給する場合、「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」の会計基準があるため、こちらを元に会計処理を行う誤りが多いため、前提として会社法第202条の2に該当する無償交付取引であるかを検討することが重要になります。

なお、執行役員や従業員等への無償交付は役員等と異なり、202条による会計処理は認められておらず、199条に基づく会計処理をすることとなります。

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