内部造作等の固定資産がない場合の資産除去債務(★★★☆☆)

質問

当社は大阪に営業所を新しく設ける予定です。大阪営業所はコワーキングスペースであり、内部造作等は当社独自で特段実施せず、そのまま利用します。契約した賃貸借契約書には、原状回復義務がありました。原状回復義務がある場合、資産除去債務の計上が必要だと認識しているのですが、資産除去債務の計上は必要になりますでしょうか。
①資産除去債務は必要
②資産除去債務は不要

結論

②資産除去債務は不要

基準

資産除去債務に関する会計基準(企業会計基準第18号) 2008年3月31日

3項⑴:「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。この場合の法律上の義務及びそれに準ずるものには、有形固定資産を除去する義務のほか、有形固定資産の除去そのものは義務でなくとも、有形固定資産を除去する際に当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去するという義務も含まれる。
23項:本会計基準でいう有形固定資産には、財務諸表等規則において有形固定資産に区分される資産のほか、それに準じる有形の資産も含む。したがって、建設仮勘定やリース資産のほか、財務諸表等規則において「投資その他の資産」に分類されている投資不動産などについても、資産除去債務が存在している場合には、本会計基準の対象となることに留意する必要がある。

整理

資産除去債務の会計基準は、有形固定資産が計上されていることが資産除去債務計上の前提となっています。そのため、賃貸借契約において、原状回復義務がある場合にも、そもそも原状回復が必要な内部造作等を行っておらず、固定資産がない場合には資産除去債務の計上対象にならないことが考えられます。

ただし、契約書の内容に応じて将来的な費用が合理的に見込まれる場合は、資産除去債務ではなく、引当金を計上することも考えられます。

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