質問
当社は新しく大阪に営業所拠点を設けました。大阪営業所は賃借であり、賃貸借契約書には原状回復義務がある旨記載されています。そのため、工事業者に原状回復金額の見積をお願いしたところ、原状回復の見積額は敷金の額を上回っていました。資産除去債務について初めて計上するのですが、簡便法による会計処理は認められるのでしょうか。
①簡便法も認められる
②簡便法は認められない
結論
②簡便法は認められない
基準
資産除去債務に関する会計基準の適用指針_9項 2008年3月31日
建物等の賃借契約において、当該賃借建物等に係る有形固定資産(内部造作等)の除去などの原状回復が契約で要求されていることから、当該有形固定資産に関連する資産除去債務を計上しなければならない場合がある。この場合において、当該賃借契約に関連する敷金が資産計上されているときは、当該計上額に関連する部分について、当該資産除去債務の負債計上及びこれに対応する除去費用の資産計上に代えて、当該敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積り、そのうち当期の負担に属する金額を費用に計上する方法によることができる。
整理
適用指針9項の簡便法において、敷金と原状回復費用の比較で原状回復金額が敷金を上回る場合に、簡便法は認められない旨の明記はないです。しかし、簡便法は重要性が低いものについて実務上の負担軽減のために認められるものであり、敷金の額よりも原状回復費用の見積額が上回る場合は、敷金で原状回復費用を精算しきれないほど重要性があるものと考えられるため、簡便法は認められず、原則法による会計処理が必要です。