質問
当社は代理店を通じて最終顧客に商品を販売しています。代理店は、当社と販売委託契約を行っている当社にとっての販売代理人です。
当社から代理店への販売価格は100、代理店から最終顧客の販売価格が120の時当社の売上金額はいくらでしょうか?
①当社から代理店への販売価格100
②代理店から最終顧客への販売価格120
結論
②代理店から最終顧客への販売価格120
基準
収益認識に関する会計基準の適用指針 最終改正2021年3月26日
整理
良くある解説では、収益認識基準における本人・代理人の論点において今回の例の代理店が本人・代理人いずれに該当するかのところが多いかと思います。一方で実務では、当然に今回の例の当社に該当する企業も存在します。
販売価格を代理人に対して販売した価格か、代理店から最終顧客に販売した価格かの判断は、代理店の役割によって判断されると考えられます。
①代理店が当社の代理人であると考えられる場合、自社の販売活動を代替するものであり、顧客が最終顧客と考えられるため、代理店が最終顧客に販売した金額で売上計上するべきと考えられます。
【①仕訳例】
(売上債権)120 (売上)120・・・代理店から最終顧客への販売価格
(販売手数料)20 (未払金)20・・・代理店から最終顧客への販売価格-当社から代理店への販売価格
②代理店が最終顧客の代理人であると考えられる場合、代理人と最終顧客は一体と考えられるため、当社が代理店に販売した金額で売上計上するべきであると考えられます。
【②仕訳例】
(売上債権)100 (売上)100・・・当社から代理店への販売価格
実務において、代理人を通じて販売する時には、代理店と代理人契約を締結して当社商品を販売することが一般的であると考えられます。そのため、①により代理店が最終顧客に販売した金額で売上計上するべきであると考えられます。この場合、当社は最終顧客への販売価格を把握することが必要であり、また、実際に代理店から入金がある金額以上で売上計上することが必要になります。実務上工数が多くなること及び工数が多くなることにより誤った会計処理になるリスクが高まるため、②との判断とならないかの整理が重要になります。