業務について
監査法人の主な業務である監査業務は、企業の財務諸表の適正性を公認会計士が公正な立場でチェックし、内容に誤りや粉飾が無いことを保証するものです。
監査業務は1年単位で実施されます。同じことの繰り返しが多いため、年々監査業務に対する理解が深まりますが、毎年監査の質を高めるための新しい業務が求められるため、業務は年々増加します。
年次を重ねるごとに監査業務を直接実施することは少なくなり、プロジェクトマネジメント業務や会社からの相談対応、法人運営業務などを行います。会社からの相談業務で、会計処理などの相談を受けることもあり、基準などに基づいて上司などと協議しながらプロとしてのジャッジをすることに面白さなどがあります。
役職について
役職 | 業務内容 |
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アシスタント(AA) | 公認会計士論文試験に合格していない人が入社した場合の役職。 公認会計士としての判断を伴わない証憑突合やデータ加工などを担当。 日商簿記検定で3級以上を持たれている方が多いイメージ。 |
スタッフ | 公認会計士論文試験に合格後監査法人に入社するとまずスタートする役職。 上位者の指示に従い個別業務を行う。 |
シニア | スタッフを3~4年経験してから昇進する役職。 現在は基本業務に問題なければ自動昇進するのが一般的。 「インチャージ(現場主任)」と呼ばれることもあり、監査チームをまとめたり年間スケジュールを検討したりする。 |
マネージャー | 部署全体のスケジュール管理や法人としての活動の遂行、およびスタッフが作成した調書のレビューなどを行う。 |
シニアマネージャー | マネージャーと業務としては類似するが、担当クライアントが監査法人の中でも監査報酬や業界におけるリーディングカンパニー等監査法人の中で重要な企業の担当となることが多い。 |
パートナー | 監査法人の共同経営者。監査業務だけではなく、法人全体の運営に深く関与する。 |
この中で、アシスタント(AA)は、2014年頃から始まったイメージですが、近年個別の調書検討するなど活躍の場が広がっています。監査法人の業務は年々業務量は増えていく中で、離職率も高いことから、増えた業務をフォローするとてもありがたく貴重な存在。
役職別年収について
私が監査法人にいた頃の大手監査法人における年収イメージは以上の通りでした。
役職が上がるにつれて200万円前後増加する形でした。
マネージャー以上は、管理職のため残業代が発生しませんが、シニア以下は残業代が発生するため、残業時間により年収が大きく変動していました。実際に、私もシニアの頃に1,200万円前後だったため、残業代が発生するマネージャーより多く給料を頂いていました。
マネージャー以上は、残業代が出ない分、賞与金額がシニア以下と比べて金額が多かったです。
マネージャー以上の業務がシニア以下と比べて格段に多く、業務量が多い中年収としても上がらず、時給換算すると下がる逆転現象が発生しています。
パートナーは、役職がつくと年収が多くなるため、私が知る中には年収6,000万円の方もいたので(飲みの席でこそっと聞きました)、パートナーの中でも幅が広くなっています。ただ、共同経営者ですが、手を自ら動かしている人も多く、一般事業会社の経営者と比較すると激務なイメージです。
離職率について
監査法人における離職率はとても高いと思います。10年で同期の7割程度が退職するといわれています。
実際に私の同期も約10年で監査を中心にする事業部は7割程度退職しており、IPO業務を担当する事業部は9割程度退職しています。特にIPO業務を担当する事業部では、若い年次から退職する人も多いです。
公認会計士になるための実務要件が2年から3年になるため、修了考査合格後すぐに退職する人も一定数いたため、離職までの期間が少し伸びるかも。