IPOを目指す会社(上場準備会社)のストックオプション(★★☆☆☆)

質問

当社はIPOを目指すスタートアップ企業です。従業員の労働に対する対価として、上場を権利確定条件としたストックオプションを発行しました。上場時期は未確定であり、権利行使期間の開始日は2025年4月で発行しています。
この場合、ストックオプションの費用行使時期はいずれでしょうか?
①ストックオプション付与日に一時費用計上
②ストックオプション付与日~権利行使期間開始日前日の期間で期間按分して費用計上
③権利行使期間開始日に一時費用計上

結論

②ストックオプション付与日~権利行使期間開始日前日の期間で期間按分して費用計上

基準

ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針 最終改正2006年5月31日
(複数の権利確定条件が付されている場合)
19. 複数の権利確定条件が付されている場合には、権利確定日は次のように判定する。
(1) それらのうち、いずれか1つを満たせばストック・オプションの権利が確定する場合には、最も早期に達成される条件が満たされる日
(2) それらすべてを満たさなければストック・オプションの権利が確定しない場合には、達成に最も長期を要する条件が満たされる日
なお、ストック・オプションの権利が確定するために、ともに満たすべき複数の条件と、いずれか1つを満たせば足りる複数の条件とが混在している場合には、上記⑴と⑵を組み合わせて判定する。
また、株価条件等、条件の達成に要する期間が固定的でなく、かつ、その権利確定日を合理的に予測することが困難な権利確定条件(前項後段)が付されているため、予測を行わない場合については、本項の適用上は、当該権利確定条件は付されていないものとみなす

整理

適用指針において、条件の達成期間が固定的でなく、条件の権利確定日を合理的に予測することが困難な時は、権利確定条件は付されていないものとみなします。よって、上場を権利確定条件としており、上場予定日を合理的に予測することが困難な時には、権利確定条件は付されていないものとみなすと考えられます。
そのため、その他で定められた権利行使期間の開始日の前日を権利確定日とし、「付与日から権利行使期間の前日までの期間」を「対象勤務期間」とみなすことになると考えられます。
なお、上場予定日直前日の発行であり、上場予定日を合理的に予測することが可能な場合は、上場予定日か権利行使期間の開始日のうち、いずれか早い日の前日をもって権利確定日とすることが考えられます。

非上場の会社がストックオプションを付与する場合、本源的価値によって費用計上することが必要です。本源的価値はストックオプションの権利行使価格と付与時に株価の差額で算定されます。非上場のスタートアップがストックオプションを付与する場合、ストックオプションの権利行使価格を付与時の株価とすることが一般的です。そのため、本源的価値が0円となり費用計上も0円となることが一般的です。

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