未払賞与の勘定科目について(★☆☆☆☆)

質問

当社は3月決算の上場会社です。賞与は12月と6月の年2回支給することとしています。賞与の決定方針はそれぞれ以下のとおりとしています。
・12月の賞与は4月~9月までの在籍期間に応じて役職ランクで一律に支給
・6月の賞与は年間業績と各人の能力評価に応じて支給

そのため、各四半期ごとの状況は以下の通りになっています。
1Q=支給対象期間に応じて支給されるが、金額が確定していない
2Q=支給対象期間に応じて支給され、在籍者・在籍期間が確定し、金額が確定している
3Q=支給対象期間以外に応じて支給され、金額が確定していない
4Q=支給対象期間以外に応じて支給され、年間業績が算定、各人の能力評価が確定し、金額が確定している

上記の場合、各四半期における貸借対照表の負債側の未払賞与の勘定科目は何になりますでしょうか?

①すべて賞与引当金で計上
②すべて未払費用で計上
③すべて未払金で計上
④1Q=賞与引当金、2Q=未払費用、3Q=賞与引当金、4Q=未払金のバラバラと計上

結論

④1Q=賞与引当金、2Q=未払費用、3Q=賞与引当金、4Q=未払金のバラバラと計上

基準

未払従業員賞与の財務諸表における表示科目について 2001年2月14日

1.支給額が確定している場合の未払従業員賞与
(1) 賞与支給額が支給対象期間に対応して算定されている場合
財務諸表の作成時において従業員への賞与支給額が確定しており、当該支給額が支給対象期間に対応して算定されている場合には、当期に帰属する額を「未払費用」として計上する。
(2) 賞与支給額が支給対象期間以外の基準に基づいて算定されている場合
財務諸表の作成時において従業員への賞与支給額が確定しているが、当該支給額が支給対象期間以外の臨時的な要因に基づいて算定されたもの(例えば、成功報酬的賞与等)である場合には、その額を「未払金」として計上する。
(注) 従業員への賞与支給額が確定している場合としては、個々の従業員への賞与支給額が確定している場合のほか、例えば、賞与の支給率、支給月数、支給総額が確定している場合等が含まれる。
2.支給額が確定していない場合の未払従業員賞与
財務諸表の作成時において従業員への賞与支給額が確定していない場合には、支給見込額のうち当期に帰属する額を「賞与引当金」として計上する。

整理

未払賞与の勘定科目は基準で以下のように定められています。
賞与引当金=賞与支給額が確定していない場合
未払費用=賞与が支給対象期間に応じて確定している場合
未払金=賞与が支給対象期間以外に応じて確定している場合

今回の例において、
1Q時点では、9月までの在籍期間に応じて確定するが、入社・退社等もあり確定していないといえるため、賞与支給額が確定していないため賞与引当金としての計上が考えられます。
2Q時点では、9月までの在籍期間が確定しているため、支給対象期間に応じて支給される賞与として未払費用としての計上が考えられます。
3Q時点では、年間業績及び各人の能力評価が見込めるようになったが確定しておらず、賞与支給額が確定していないため賞与引当金としての計上が考えられます。
4Q時点では、年間業績及び各人の能力評価が見込めるようになったが確定しているため、支給対象期間以外に応じて支給される賞与として未払金としての計上が考えられます。

同じ未払賞与でも四半期に応じて計上科目が異なることが状況によっては考えられます。

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