ストックオプション(新株予約権)の権利行使日前に払込がなされ決算期を迎えた場合(★★★★★)

質問

当社は過年度に従業員に対してストックオプションを発行していました。権利行使可能期間のため、従業員は発行会社から権利行使請求権が送られてくる権利行使請求書に必要事項記入の上、所定の銀行口座に振込を行いました。証券会社で権利行使請求書や振込に基づき、権利行使に当たっての手続きや審査を行っていた結果、権利行使前に決算期を迎えました。振込がある中で権利行使前に決算期を迎えた場合どのように会計処理するのでしょうか?
①振込金額を「仮受金」として計上
②振込金額を「新株式申込証拠金」として計上
③振込金額を「新株予約権」として計上

結論

②振込金額を「新株式申込証拠金」として計上

基準

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
第62条 申込期日経過後における新株式申込証拠金は、第60条の規定にかかわらず、資本金の次に別に区分を設け、新株式申込証拠金の科目をもつて掲記しなければならない。
2 前項の場合には、当該株式の発行数、資本金増加の日及び当該金額のうち資本準備金に繰り入れられることが予定されている金額を注記しなければならない。

整理

ストックオプション(新株予約権)の権利行使手続は一般的に以下流れで実施されます。
【権利行使手続】
1.ストックオプション(新株予約権)を割り当てられた株主に対して発行会社から権利行使請求権が送られる
2.ストックオプション保有者は所定の銀行口座に振込及び権利行使請求書に必要事項記入の上申し込みを行う
3.証券会社で権利行使に当たっての手続きや審査を行う
4.審査が通れば、ストックオプションの権利行使がされ新株を受け取れる

決算日までに2.の振込まで完了し、権利行使手続途中で権利行使が完了しない場合、決算日時点では株主には該当しないです。そのため、入金額について株主との資本取引として資本金や資本準備金に計上することは適切ではないため、将来的に株主となるものからの出資として新株式申込証拠金として計上することが考えられます。

その場合、入金額は「別段預金」として通常の預金とは区分して計上することが考えられます。

なお、開示において、新株式申込証拠金について、(1)当該株式の発行数、(2)資本金増加の日及び当該金額のうち資本準備金に繰り入れられることが予定されている金額を注記することが必要になります。

<まとめ>
「新株式申込証拠金」として資本金の下に純資産科目として計上します。
(イメージ)・・・第62条第1項に関するガイドライン
資本金      ×××
新株式申込証拠金 ×××
資本準備金    ×××

入金額は「別段預金」

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