上場時など資金調達をした場合のキャッシュ・フロー計算書における注意点(★☆☆☆☆)

質問

当社は、当期に上場し資金調達を行いました。当期上場後初めての開示にあたり、キャッシュフロー計算書を作成することになりました。上場により資金調達した時の典型的なキャッシュフロー計算書に関する論点があると聞きましたが、なんでしょうか。上場時など資金調達をした場合においてキャッシュ・フロー計算書において留意するべきことはなんでしょうか?

結論

財務活動よるキャッシュ・フローへの計上にあたり、資金調達に直接かかった費用を資金調達額から控除すること

基準

連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針(会計制度委員会報告第8号)40項
最終改正:2014年11月28日

整理

適用指針40項では、以下定めがあります。
40.社債や新株の発行等による資金調達の実質手取額は、発行価額から社債発行費や株式交付費を控除した額である。したがって、社債発行費及び株式交付費に重要性がある場合は、「キャッシュ・フロー計算書」上、実質手取額によって表示する。なお、これらの発行費等に重要性がない場合は、それぞれのキャッシュ・フローを総額によって表示することができる。

そのため、株式交付費に重要性がある場合は、株式交付費額を資金調達額から控除し、実質手取額によって表示することが必要になります。

新株発行等による資金調達以外の場合で、例えば、シンジケートローンによる借入を行った場合に、シンジケートローンのアレンジャーに支払ったアレジメントフィー(支払手数料)も同じく、借入による増加額から控除して実質手取額によって表示することが考えられます。

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