賃貸借契約にフリーレント条項がある場合(★★★☆☆)

質問

当社は本社について賃借しています。賃貸借契約書において賃貸借契約に一定の期間について賃貸借料を免除されるフリーレント条項があります。フリーレント条項がある場合、フリーレント期間を含めた賃貸借契約期間で費用按分をする必要がありますでしょうか?
①フリーレント期間を含めた賃貸借契約期間で費用按分をすることは必須
②フリーレント期間を含めた賃貸借契約期間で費用按分をすることは必須ではない

結論

②フリーレント期間を含めた賃貸借契約期間で費用按分をすることは必須ではない

基準

基準なし

【参考】
・企業会計原則-費用収益対応の原則
・リース取引に関する会計基準(企業会計基準第13号)5項_2007年3月30日改正

整理

フリーレントがある場合の取引について日本には会計基準で明記されたものはないです(米国などはあり)。

一方で、会計基準の元となる企業会計原則において費用収益対応の原則があります。
費用収益対応の原則とは、企業成果である収益を獲得するのに犠牲にされた資源を費用として対応させるものです。

賃貸借契約では、賃貸物件を使用することによって得た収益に対応させて賃料を費用として認識するということになります。そのため企業会計原則に基づく会計処理では、費用(支払い)が発生していないフリーレント期間に関しても費用を認識することが考えられます。

ただ、やはり日本にフリーレント取引の会計基準がないため、企業において会計処理を整理の上、監査法人がいる企業においては監査法人と協議の上、合意することでフリーレント期間を含めた期間按分をしないことが考えられます。
フリーレント期間を含めた期間で按分しないととしたい場合は、事前に会社でフリーレント期間を含めた期間按分をしない理由を整理のうえ、監査法人と合意する必要があります
ポイントは、事前に整理するところで、監査法人に相談ベースで実施すると企業会計原則に基づき期間按分を要求されることになるかと思います。

なお、フリーレント期間を含めた賃貸借料の期間按分をするためには、①賃料総額の確定(金額)②按分期間の確定(期間)が重要となります。
①、②の考えとして、リース取引に関する会計基準におけるファイナンスリース取引の判定要素の(1)ノンキャンセラブル、(2)フルペイアウトと照らし、中途解約などできる場合には、賃料総額の確定や按分期間の確定ができないため、期間按分をしないことが考えられます。

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