質問
当社は3月決算の会社で、繰延税金資産の回収可能性における分類判定において分類4に該当する企業です。
現在第1四半期で四半期決算を行っています。
この場合において、第1四半期末では、繰延税金資産の回収可能性における見積課税所得はどの期間の課税所得とするべできでしょうか?
①当期年度初めの4月1日からの1年間の一時差異等加減算前課税所得の見積額
②当第1四半期からの1年間の一時差異等加減算前課税所得の見積額
③翌期の4月1日からの1年間の一時差異等加減算前課税所得の見積額
結論
②当第1四半期からの1年間の一時差異等加減算前課税所得の見積額
基準
四半期財務諸表に関する会計基準 2020年3月31日
39.四半期財務諸表の性格付けについては、中間財務諸表と同様、「実績主義」と「予測主義」という2つの異なる考え方がある。
「実績主義」とは、四半期会計期間を年度と並ぶ一会計期間とみた上で、四半期財務諸表を、原則として年度の財務諸表と同じ会計方針を適用して作成することにより、当該四半期会計期間に係る企業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する情報を提供するという考え方である。
整理
四半期財務諸表に関する会計基準において、四半期財務諸表の性格として、「実現主義」と「予測主義」の2つがある中、四半期会計期間を年度の財務諸表と同じ会計方針を会計方針を適用して作成する「実現主義」が基準上採用されています。
そのため、分類4の企業の繰延税金資産計上においては、当第1四半期からの1年間の一時差異等加減算前課税所得の見積額の計上をすることが考えられます。
ただ、実務においては、課税所得は各事業年度の所得の金額の計算上計上される金額であり、四半期単位で課税されるものではなく、事業年度単位で課税されるものであることから、①の当期年度初めの4月1日からの1年間の一時差異等加減算前課税所得の見積額をもとに一時差異の加減算を調整し、繰延税金資産を計上することも考えられます。