買掛金と未払金、未払費用の違い(★★☆☆☆)

質問

当社は警備会社です。当社のサービスは警備業務や警備グッズ販売などです。当社のビジネスを行う上での未払として、警備業務を提供するための外注人件費に対する未払、不動産仲介手数料の未払、地代家賃の未払、警備グッズ購入に対する未払、保険料の未払があります。未払取引の勘定科目として買掛金、未払金、未払費用がありますが、それぞれどの勘定科目を利用するのが適切でしょうか。

<勘定科目>
①買掛金
②未払金
③未払費用

<取引>
a.警備業務を提供するための外注人件費に対する未払
b.不動産仲介手数料の未払
c.地代家賃の未払
d.警備グッズ購入に対する未払
e.保険料の未払

結論

①買掛金
a.警備業務を提供するための外注人件費に対する未払、d.警備グッズ購入に対する未払
②未払金
b.不動産仲介手数料の未払
③未払費用
c.地代家賃の未払、e.保険料の未払

基準

買掛金・・・企業会計原則注解*【注16】
受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。(以下省略)・・・

未払金・・・企業会計原則注解*【注16】
貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が1年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。

未払費用・・・企業会計原則注解*【注5】⑶
未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴い既に当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない

整理

買掛金、未払金、未払費用の違いは、以下の通り。
買掛金は商品や売上原価など主目的である営業活動に関する未払です。そのため、主目的である営業活動のための未払であれば、物品の購入、継続的な役務提供取引に関する取引でも買掛金に計上することが必要であると考えられます。

未払金は主目的以外の取引によって発生した物品の購入継続的ではない役務提供取引に対する未払です。そのため、買掛金でも、未払費用にも該当しない未払を未払金として計上することが考えられます。

未払費用は一定の契約に従い、継続して役務提供を受ける場合の未払であり、物品取引及び一時的な役務提供取引は対象外と適用できる場合は限定されます。

よって、今回の質問の場合は、警備業務や警備グッズ販売などを行う警備会社において、a.警備業務を提供するための外注人件費に対する未払、d.警備グッズ購入に対する未払は主目的である営業活動に関する未払であるため、買掛金に該当します。b.不動産仲介手数料の未払は、継続的に発生するものではなく、一時的な役務提供サービスであると考えられるため、未払金に該当します。c.地代家賃の未払、e.保険料の未払は継続的な役務提供サービスに関する未払であると考えられるため、未払費用に該当します。

なお、役務提供につき、継続して役務提供を受ける場合の整理は会社ごとにルール決めを行うことが必要となります。
例えば、継続的な役務提供取引の整理として、
・地代家賃のように毎月同額取引のみを継続的な役務提供取引と整理の上未払費用、正社員人件費のように残業代等により毎月変動する取引は一時的な取引と判断の上未払金計上する場合
・地代家賃、正社員の雇用契約のように契約に基づき、契約に基づき毎月役務提供を受けると考え、ともに未払費用とする考える場合があります。
いずれとするかは会社の考え次第になりますので、会社の考えを整理の上、整理後は継続適用する必要があります。

<まとめ>
買掛金=通常の取引に基づいて発生した営業上の未払金であり、一般的には棚卸資産や売上原価など売上にかかる未払
未払金=営業上の未払金のうち、買掛金ではない物品の取得、非継続的な役務提供取引にかかる未払
未払費用=継続的な役務提供取引にかかる未払

今回は負債側でしたが、関連する論点が資産側にあります。下記記事にまとめてますので、宜しければご覧ください。

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