期末日時点で初めて資本金5億円を超えた時の会社法監査の開始時期について(★★★☆☆)

質問

当社はスタートアップ企業です。期中に増資を行った結果資本金5億円をを超え、期末日までに減資手続が完了しなかったため、期末日時点で資本金5億円を超えていました。資本金5億円または負債総額200億円を超えた場合には、会社法監査が必要になるの聞いたのですが、いつから会社法監査が必要になりますでしょうか?
①当事業年度(期末日までに基準額を超えた事業年度)
②翌事業年度(期末日までに基準額を超えた翌事業年度)

結論

②翌事業年度(期末日までに基準額を超えた翌事業年度)

基準

会社法 最終改正2022年6月17日

第2条6項:大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円以上、または、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部の合計額が200億円以上である株式会社(以下、資本金5億円以上、負債合計200億円以上を基準値とする)。
第328条:大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。

整理

大会社は、会計監査人による監査が義務付けられています。
大会社の判断において、最終事業年度に係る貸借対照表がいつを指しているかがポイントになります。
この「最終事業年度に係る貸借対照表」とは、定時株主総会で承認又は報告された貸借対照表(最初の定時株主総会を経ていない場合には、会社成立日の貸借対照表)を指します

例えば、2023年3月期において基準値未満の会社が、2024年3月期において基準値以上となった場合、その貸借対照表が承認、報告される2024年6月の定時株主総会で、2025年3月期より大会社の要件に該当することが確定し、会計監査人選任等の対応をとることが必要になります。この場合、2025年3月期から会計監査を受ける必要があります。

反対に、2023年3月期において基準値以上で大会社であった会社が、2024年3月期において減資などにより基準値未満となった場合、2024年6月の定時株主総会において貸借対照表が承認、報告されることで、2025年3月期より大会社に該当しなくなり、会計監査人が不要となります。この場合、2024年3月期まで会計監査を受ける必要があります。

基準値を超えたら直ちに会社法監査が必要になるわけではないため、ご留意ください。
また、事業年度内において基準値を下回った場合にも、下回った事業年度においては会社法監査が必要になりますので、その点もご留意ください。

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