リース取引における借手と貸手の簡便法を適用できる場合(★★☆☆☆)

質問

当社はリース取引を借手と貸手両方の立場で行っています。リース取引であるためファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引が考えられますが、実務上の負担からファイナンスリース取引ではなく、簡便的な処理となるオペレーティングリース取引を適用したいと考えています。リース取引についてファイナンスリース取引を原則適用必要な場合にも、簡便法を利用できる場合があると聞きましたが、簡便法を適用できる場合は借手と貸手で同じでしょうか?
①借手と貸手で同じ
②借手の方がより簡便法を適用できる
③貸手の方がより簡便法を適用できる

結論

②借手の方がより簡便法を適用できる

基準

<借手>
(少額リース資産及び短期のリース取引に関する簡便的な取扱い)
34.個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合は、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。
35.個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合とは、次の⑴から⑶のいずれかを満たす場合とする。
⑴ 重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準額以下のリース取引
ただし、リース料総額にはリース物件の取得価額のほかに利息相当額が含まれているため、その基準額は当該企業が減価償却資産の処理について採用している基準額より利息相当額だけ高めに設定することができる。また、この基準額は、通常取引される単位ごとに適用されるため、リース契約に複数の単位のリース物件が含まれる場合は、当該契約に含まれる物件の単位ごとに適用できる。
⑵ リース期間が1年以内のリース取引
⑶ 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額(維持管理費用相当額又は通常の保守等の役務提供相当額のリース料総額に占める割合が重要な場合には、その合理的見積額を除くことができる。)が300万円以下のリース取引
なお、⑶の場合、1つのリース契約に科目の異なる有形固定資産又は無形固定資産が含まれている場合は、異なる科目ごとに、その合計金額により判定することができるものとする。

<貸手>
(貸手としてのリース取引に重要性が乏しいと認められる場合の取扱い)
59.貸手としてのリース取引に重要性が乏しいと認められる場合は、第53項の「利息相当額の各期への配分」の定めによらず、利息相当額の総額をリース期間中の各期に定額で配分することができる。
60.貸手としてのリース取引に重要性が乏しいと認められる場合とは、未経過リース料及び見積残存価額の合計額の期末残高(第53項に従い利息相当額を利息法により各期に配分しているリース資産に係るものを除く。)が当該期末残高及び営業債権の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合とする。
なお、連結財務諸表においては、上記の判定を、連結財務諸表の数値を基礎として見直すことができる。見直した結果、個別財務諸表の結果の修正を行う場合、連結修正仕訳で修正を行う。
ただし、リース取引を主たる事業としている企業は、前項の簡便的な取扱いは適用できない

整理

リース取引における会計処理は、ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引の2つがあります。
このうち、ファイナンスリース取引はオペレーティングリース取引と比較し、会計処理が複雑及び管理負担が多くなるため、できるだけファイナンスリース取引ではなく、オペレーティングリース取引で処理を行いたいのが一般的です。

そのため、ファイナンスリース取引を原則適用の場合、例外要件である簡便法要件を満たすことで、オペレーティングリース取引を適用できないかを検討します。借手と貸手の簡便法の基準は異なります。

貸手は、一般的にリース取引を主たる事業としている企業が行うことが多いです。そのため、貸手の場合リース取引は、簡便法を適用できず、ファイナンスリース取引で会計処理を行うことが一般的です。

一方借手の場合は、1年以内、300万円以下の取引などでの借手としてのリース取引が多くあるため、簡便法によりオペレーティングリース取引を行うことが考えられます。

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