金融商品と敷金の関係(★☆☆☆☆)

質問

当社は初めて会社法の計算書類、金商法の有価証券報告書を作成します。会社法の計算書類、金商法の有価証券報告書において金融商品の時価注記をすることが必要だと認識しています。当社は敷金について金融商品に該当するため、金融商品の時価注記が必要と認識しています。ただし、当社の敷金のうち一部は資産除去債務の簡便法を適用しています。この場合、敷金金額全額について金融商品の時価注記対象となりますでしょうか。
①全額時価注記の対象となる
②一部時価注記の対象とならない
③全額時価注記の対象とならない

結論

②一部時価注記の対象とならない

基準

金融商品会計に関する実務指針 4項 最終改正2019年7月4日

整理

金銭債権とは、金銭の受取を目的とする債権を意味するとされています。典型的には、受取手形、売掛金、貸付金等が金銭債務に該当します。

敷金は一般的に賃貸借契約が終了した際に、賃借物の明け渡し時に必要となった修繕費用や原状回復費用を控除した残額を、賃借人が賃貸人に対して返還するように請求できる権利である返還請求権があると考えられます。そのため、敷金は金銭の受取を目的とする債権であると考えられるため、原則は金融商品に該当すると考えられます。

資産除去債務の簡便法は、敷金金額から原状回復見積金額を原状回復するまでの期間で償却を行います。そのため、敷金の中には、将来的に費用計上となる金額が含まれていると考えられ、当該金額は費用性資産と考えられます。費用性資産は金銭の受取を目的とする債権ではないと考えられるため、敷金のうち資産除去債務の簡便法に該当する部分は、金融商品に該当しないと考えられます。

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