固定資産の減損対象資産で漏れやすい資産(★★★★★)

質問

当社は、当期において2期連続で営業赤字になりました。そのため、減損の兆候にあたるため、減損の検討を行うにあたり、入り口として減損対象資産を整理しています。当社は固定資産として以下があります。
この中で、減損対象資産に該当するものはどれになりますでしょうか。
①建物附属設備
②土地
③市場販売目的のソフトウェア
④長期前払費用(財務活動から生ずる損益除く)
⑤資産除去債務の簡便法を適用した場合の未償却の資産残高

結論

③市場販売目的のソフトウェア以外すべて減損対象資産に該当

基準

固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第 6 号)5項、6項_2019年3月27日最終改正

対象資産
5.本適用指針は、固定資産を対象に適用する(減損会計基準 一参照)。固定資産には、有形無形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産が含まれる(第68項参照)。

6.他の基準に減損処理に関する定めがある以下の資産については、対象資産から除く(減損会計基準一参照)。
(1)企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下、「金融商品会計基準」という。)における金融資産
(2)「税効果会計に係る会計基準」における繰延税金資産
(3)「研究開発費等に係る会計基準」において無形固定資産として計上されている市場販売目的のソフトウェア(第69項参照)
なお、退職給付に係る資産についても、「退職給付に係る会計基準」(2012年5月に企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」に改正されている。)において評価に関する定めがあるため、対象資産から除かれる(減損会計意見書四1.参照)。また、長期前払利息など財務活動から生ずる損益に関する経過勘定項目も、対象資産から除かれる。

整理

市場販売目的のソフトウェアは、「研究開発費等に係る会計基準」に基づいて資産性を検討することから減損損失に関する基準の対象資産外とされています。

また、減損対象資産は、固定資産を対象にし、他の基準に減損処理に関する定めがある長期前払利息など財務活動から生ずる損益に関する経過勘定項目も、対象資産から除かれるとされます。
そのため、固定資産は基本減損対象資産となる中、
①長期前払費用(財務活動から生ずる損益除く)
②資産除去債務の簡便法を適用した場合の未償却の資産残高
いずれも対象外資産として記載ないため、減損対象資産
であると考えられます。

この2つの資産は減損対象資産として漏れやすい科目です。特に①は、AWSなどサーバー代を長期前払し、多額となっている会社も多いことから留意が必要です。

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