労働保険の会計処理

労働保険は、労災保険と雇用保険の総称です。
労災保険は、雇用主が全額負担、雇用保険は雇用主と労働者の双方が負担することになっています。
労働保険の金額は労働者に対して支払った賃金に対して、雇用保険、労災保険それぞれの保険料率を乗じて計算します。
納付は、原則として年度更新時に当年度分を一括納付します。
労働保険は、「年度更新」と呼ばれる申告と保険料の納付の方法を取っており、毎年6月1日から7月10日(7月10日が土日に当たる場合は翌月曜日)の間に申告と保険料の納付を行います。

労働保険の会計処理(一括納付)

(前提)
・3月決算会社
・年間の労働保険料:99,000円(会社負担分:66,000円/従業員負担分:33,000円)を一括で概算納付

(仕訳)
4月~6月の各月末(月次仕訳)
月次決算において、労働保険の会社負担分を費用計上します。
(借)法定福利費 5,500*  (貸)未払金 5,500
*66,000円÷12=5,500

4月~6月の各月の給与支払時
給与支払時に労働保険の従業員負担分を天引きします。
(借)給与手当 2,750*   (貸)預り金 2,750
*33,000円÷12=2,750

(7月10日)
(借)(未払金)16,500*¹    (貸)(現預金)99,000*³
  (預り金)8,250*²
 (前払費用)49,500*¹
  (立替金)24,750*²
*¹未払金に計上済の会社負担分5,500×3を取り崩すとともに、会社負担分の残額を前払費用に計上
*²天引き済みの従業員負担分2,750×3を取り崩すとともに、従業員負担分の残額を立替金に計上
*³当年度分の労働保険を一括納付

月~3月の各月末
月次決算において、計上済の前払費用を取崩費用に振り替えます。
(借)法定福利費 5,500  (貸)前払費用 5,500

7月~3月の各月の給与支払時
立替金に計上してある従業員負担分を取崩します。
(借)給与手当 2,750 (貸)立替金 2,750

労働保険の会計処理(分納)

(前提)
・3月決算会社
・年間の労働保険料:99,000円(会社負担分:66,000円/従業員負担分:33,000円)を一括で概算納付

(仕訳)
4月~6月の各月末(月次仕訳)
月次決算において、労働保険の会社負担分を費用計上します。
(借)法定福利費 5,500*  (貸)未払金 5,500
*66,000円÷12=5,500

4月~6月の各月の給与支払時
給与支払時に労働保険の従業員負担分を天引きします。
(借)給与手当 2,750*   (貸)預り金 2,750
*33,000円÷12=2,750

(7月10日)
(借)(未払金)16,500*¹    (貸)(現預金)99,000*³
  (預り金)8,250*²
 (前払費用)49,500*¹
  (立替金)24,750*²
*¹未払金に計上済の会社負担分5,500×3を取り崩すとともに、会社負担分の残額を前払費用に計上
*²天引き済みの従業員負担分2,750×3を取り崩すとともに、従業員負担分の残額を立替金に計上
*³当年度分の労働保険を一括納付

月~3月の各月末
月次決算において、計上済の前払費用を取崩費用に振り替えます。
(借)法定福利費 5,500  (貸)前払費用 5,500

7月~3月の各月の給与支払時
立替金に計上してある従業員負担分を取崩します。
(借)給与手当 2,750 (貸)立替金 2,750

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