質問
当社は前期に保有する固定資産など減損対象資産について全額減損計上しました。その際の主要な資産は本社の建物附属設備と整理していました。当期において、新規採用人員のためのPC購入などにより固定資産を新たに取得しました。
当期も前期と同様で営業赤字のため、減損の兆候にあるため、認識検討に進む必要がありますが、その際に、主要な資産は何とするべきでしょうか。
①当期新規取得したPCなどの固定資産
②前期全額減損計上した建物附属設備
結論
②前期全額減損計上した建物附属設備
基準
固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 2009年3月27日
101項:主要な資産は、資産のグルーピングを行う際に決定され、当期に主要な資産と判定された資産は、事実関係が変化した場合(例えば、資産のグルーピングの変更、資産グループ内での設備の増強や大規模な処分、資産グループ内の構成資産の経済的残存使用年数の変更など)を除き、翌期以降の会計期間においても当該資産グループの主要な資産になる。
102項:一般に、企業は、当該資産を必要とせずに資産グループの他の構成資産を取得するか、当該資産を物理的及び経済的に容易に取り替えないかなどを考慮して、主要な資産は決定されると考えられるが、資産グループの他の構成資産と比較して、当該資産の経済的残存使用年数の長さや取得原価及び帳簿価額の大きさなども勘案される場合があると考えられる。企業は、これらの要素を考慮して、資産グループの将来キャッシュ・フロー生成能力にとって最も重要な構成資産である主要な資産を、総合的に判断する。
整理
主要な資産は、将来キャッシュ・フロー生成能力にとって最も重要な構成資産であり、事実関係が変化しない場合には、当期に決定した主要な資産は翌期以降も継続して主要な資産になると考えられます。
そのため、事実関係の変化に主要な資産の簿価を全額減損したことが該当するかが論点になります。この点、前期全額減損計上したこと=資産グループの将来キャッシュ・フロー生成能力にとって最も重要な構成資産であることに変化をもたらすものではないと考えられます。
基準に明記ある資産のグルーピングの変更、資産グループ内での設備の増強や大規模な処分、資産グループ内の構成資産の経済的残存使用年数の変更などの事実関係の変化ではなく、前期全額計上で主要な資産を変更することはないと考えられるため、主要な資産は前期減損計上しているため簿価はないですが、主要な資産として主要な資産の経済的残存耐用年数の将来CFの見積りをすることが必要であると考えられます。